夕立。
 ※血とかちょっと出るので苦手な人はご注意ください。



 

 単刀直入に言うなら、この種族は暗い。みんな、落ち込みやすい。落ち込む、それ事態はまだ良い。問題は、立ち直るのが遅いことだ。早く前を向かないと、何も変わらないのに、それが真実なのに、誰もそうしない。みんな、まじめすぎるのかもしれない。責任は自分にある。自分が罰をうけろ。そう言うこと、ばかり繰り返す。もっと、他人のせいにすれば良い。それは、褒められることではない。しかし、塞ぎこんでいるより遥かにましだ。そしてもっと、明るく振る舞えば良い。暗いことは、グチグチ呟くべきではない。その愚痴は、果たして得を生み出すのか。愚痴は何一つ、成長する源にならない。なおかつ、周りの光まで奪ってしまう、百害あって一利なしのものだ。そのような考えを、常々心に抱いていた。
 先月は、話し声が悪口に聞こえてしまうと、悩んでいる子がいた。他人がひそひそ傍で会話していると、たとえ知らない人同士でも、自分に言っているように聞こえてしまうとか。その前は、バトルの練習をしていたら、骨ブーメランが関係ない人に当たってしまい、怪我を負わせて罪悪感を抱いている子がいた。どちらにしても、そこまで思い悩むことじゃない。前者に関しては、単なる自意識過剰であり、心の持ちよう一つで、簡単に問題が解決する。ポジティブになれば、それでいい。
 
 私は、落ち込んでいる子に対し、よく励ましの言葉をかけていた。笑えば元気が出るよ。愚痴呟くと、余計に暗くなるよ。そんな感じて、安直ではあるけれども、熱心さが伝わるように話しかけていった。でも、効果が表れない。むしろ余計に塞ぎこむ。その場では、元気になった感じに見えても、数日経つと、元通りになっていることもあった。せっかく励ましたのに、まるで意味がなくなって、私はため息をつきたくなった。つきたくなるけど、ぐっと我慢する。同じ穴のムジナになってしまうから。
 私は、異端児かもしれない。カラカラという根暗な種族。にもかかわらず、生まれてこの方、落ち込んだことがない。おかしいのは私の方という意見も否定できない。だとしてもやっぱり、明るく生きていた方が良い。他のポケモンは、すぐに立ち直る。それで、平和に暮らしている。ポニータは、塞ぎこむことはあるけれど、気がつけば草原を楽しそうに駆け巡っていた。サイホーンは、時々喧嘩はするけれど、一日経てば仲直りしていた。深く思い悩んでいる所なんて、見たことがない。隣の芝生は青く見える。実際に青いと思う。やっぱり落ち込まないで、愚痴とか呟いていないで、明るくすごしている方がいい。
 
 このような考えに賛同してくれるのは、唯一お母さんだけだった。ガラガラだったお母さんは、優しくて立派な人だった。普通よりも細長い尻尾を持ち、体の色は濃い茶色。私の何倍も太い骨を、手に握っていた。私が人間に捕まりかけたとき、それを振り回して助けてくれた。
「なんでみんな、もっと明るくならないの。愚痴ばっかりで、生きてて楽しいわけ? 私には理解できないなあ」
 ふくれっ面で不満をぶちまける。それでも、お母さんは明るく笑っていた。そして、あなたの考えは、何も間違ってないと頭を撫でてくれた。私は嬉しくなって、「そうだよね!」って言いながら、お母さんの胸に飛び込んだ。
 
 その後すぐに、雨が降ってきた。雷も轟く、バケツをひっくり返したような雨。雨音は徐々にボリュームを上げ、ものの数分で水たまりが出現する。現在は夕方で、こういう突然の雨を夕立と呼ぶらしい。いつの間にか、空は黒雲が支配していた。ポケモン達は、一斉に雨を避けにいく。私達も急いだ。けれども、雨を防げる古屋のような場所は、既に他のポケモンで埋まっていた。素早さの遅い種族は、こんなときいつも出遅れる。仕方なく、木の下へと逃げ込んだ。雨は完全には防げない。枝葉の隙間から襲ってくる。地面タイプは濡れると、少しずつだがダメージを喰らう。けれども、私は大丈夫だった。お母さんが、私を抱えるようにして、雨を防いでくれたのだ。お母さんだって雨に濡れて苦しいのに、私を守ってくれた。  
 お母さんは昔から、自己犠牲に走るタイプだった。私は幾度となく、お母さんに救われた。その度に深く感謝してきた。けれども、少し心配になることがある。人のことばかりで、自分は傷ついてもいいのだろうか。なんて思いながら、首を曲げて見上げる。目の前には、お母さんの白いお腹があった。人間のポケモンに切り裂かれたときの、醜い傷跡がついている。そして夕立は止んだ。



 それから、数日後。
 この日は、この前とは打って変わって、良く晴れていたのを覚えている。雲は消滅。太陽の光が真っ直ぐ地上まで伸びてくる。心地好い風が颯爽と肌の上を駆ける。気持ちの良い天気だった。
数分後、何やら外が騒がしくなった。草原を激しく走る音が、幾多にも重なって聞こえてくる。早くしろ黒いのが来た! と誰かが叫んでいた。私達は住んでいる洞窟から出た。ポケモン達が、人間の住む町とは逆方向へ、必死の形相で逃げている。遠くから、激しい銃声と少しの悲鳴が聞こえてきた。状況を察した。私達は逃げ始めた。
 ロケット団、という組織があった。危険な組織、ということで覚えていた。危険というのは、野生にとってだ。彼らは野生のポケモンを捕獲する。そして高値を付けて売り捌く。要するに犯罪組織だ。けれども、もっと怖いことがある。捕まえるのに手こずった場合、その場で非道にも殺してしまうのだ。だから彼らと出くわしたら、抵抗しないで捕まってしまえと教わった。私が生まれる前に、大規模な乱獲があった。その時、怖くて反撃してしまう者や、捕まるのが嫌だという理由で反撃することを選択する者がいた。反撃した人は、みんな殺されてしまった。そんな悪夢が今日、再び繰り返される。被害が小さくなるか、大きくなるか、それは未知数。

 命の危険にさらされているのに、自分でも驚くほどに冷静だった。周りには、笑いながら逃げている子もいた。突然の事態に、混乱が一周した結果だろう。けれども、眼前で一匹のポケモンが、歯向かって手持ちのポケモンを倒してしまい、人間の逆鱗に触れ、銃で打たれたのを目撃したとき、ようやく冷静ではいられなくなった。一周した混乱が更に半周し、恐怖の感情がじわじわと胸に沈殿した。やがてそれが、悲鳴を上げるという反射に繋がった。
 人間は次々と、ポケモンを捕獲していく。カラカラも何匹か捕らえられた。その流れの中で私は、捕獲の基準は、手こずった場合だけではないことに気がついた。高値で売れるか、すなわち強いかどうか珍しいかどうか、という物差しでも判断していることが分かった。私の恐怖心に新たな歯車が加わる。私は強くない。珍しいと言える点もない。となると、殺される可能性が高い。単純明快な論理式が組み上がった。足ががくがくと震え上がった。もう動けなくなってしまう。そう心配したが、助かりたいという一心と、お母さんの大丈夫だからという冷静な励ましによって、なんとか走り続けることができた。
 しかし、全速力で走れても、果たして逃げ切れるのか。相手の数は尋常じゃない。まずロケット団が何人もいて、その上、ひとりひとりが所有するポケモンの数が多い。至る所で爆発音が轟き、悲鳴が耳に迫ってくる。犠牲者の数は、今どれくらいだろう。私が生き残れる確率は、どのくらいだろう。前者が徐々に増えており、後者は徐々に減ってきている。それは確実だ。
 そして、急展開が起こった。不意に私が生き残れる確率が、大幅にダウンしてしまうのであった。

 目が合ってしまった。追ってきているか確認しようとして、振り向いたとき、一人の人間と目が合ってしまった。人間は三匹のポケモンを持っていた。一匹に指示を出し、私の方へと向かわせた。人間の方は、他の二匹を連れて、別のポケモンを狙いに行った。
そのポケモンは全身真っ黒で、至極凶暴そうな見た目をしていた。鉤爪のような白い角が頭に植えられ、矢印の形をした細長い尻尾が不気味にうねっている。口内には、警戒すべり鋭利な牙。腕を噛みつかれたりしたら、持っていかれてしまいそうだ。
足が完全に硬直した。逃げることは無理だ。どのみち、私の足では逃げ切れない。残りの選択肢は戦うこと。だけど、足が硬直するほど怯えているのに、戦うなんてできるわけがない。黒いポケモンは、なかなか攻撃してこなくて、殺すことを躊躇っていると判明した。けれども、やはり命令には逆らえないのだろう。迷った先の行動は、私に不都合なものだった。口を開いて、こっちに飛びかかる。鋭い牙がギラリと光った。私は痛みの強さが、どれくらいか想像した。ここまでくれば、死ぬことよりも、痛い思いをすることの方に恐怖を感じる。まぶたを閉じた。避けるのは無理だ。恐らく右足を狙われる。数秒経った。痛みはこない。目を開けた。

 黒いポケモンの牙が、お母さんの骨で、見事にガードされている光景がそこにはあった。正直私は、恐怖でお母さんが隣にいたことを忘れていた。いつだってお母さんは、私を守ってくれたのに。
黒いポケモンは標的を変えた。お母さんは恐怖で顔が強張る。しかし私を守ろうと迎えうつ。駄目お母さん逃げて! そう叫びながらも、安心感が心の中で芽生えた自分がいた。死ぬ確率が減ったからか。嫌な子だ。
 相手は次なる攻撃をする。歯向ったポケモンは殺してしまえと指示があるわけだ。爪が防御されたことから、別の攻撃方法を試みた。口を開けるのは同じだが、今度は真っ赤な炎を吐いた。それは直撃した。お母さんの体が炎で包まれる。それでもお母さんは怯まない。反撃をするべく体勢をとる。振り向くことなく、私に言った。今のうちに逃げろと。
果たして私は、その通りにした。
 途中、お母さんの悲鳴が聞こえた。それでも、泣きながら逃げ続けた。たとえ罪悪感に苛まれても、お母さんに死んで欲しくなくても、戦いの場に戻ることなどしなかった。 


 私が戻ってきたのは、銃声が聞こえなくなり、数分経った頃だった。悲劇の草原を目撃し、体は黒いやどりぎのタネで締め付けられた。それでもゆっくりと、例の場所へと向かった。しかしそこには何もなかった。もしや、お母さんは殺されてはなく、捕まったのだろうか。それなら、悲しいけれどまだいい。逃げ帰って再開できる、という微かな希望も光り輝く。ひとまず、別の場所を探した。人間が住む都市の近くへ。見覚えのある、太い骨が落ちていた。嫌な予感しかしなかった。更に先へ進む。すると、考えたくもない現実が、そこにはあった。あってしまった。
 茶色い体は、赤く染まっていた。頭部の骨には、幾多のヒビが入っていた。持ってかれてはいないが、噛まれた腕からは血が溢れていた。細長い尻尾に関しては千切れていた。目は固く閉じられていて、二度と光を通すことはない。
揺すって声をかけても、薬草を拾ってきても、結果は火を見るより明らかだ。すぐにその場から去った。お母さんの骨は持った。
 死体から徐々に遠ざかる。依然として涙は出ない。まだ受け入れてないから。けれども、後もう少しだと、自分で分かった。次第に、目頭が熱くなってきた。お母さんとの思い出が、脳内をしっちゃかめっちゃかに駆け巡る。草原の真ん中まできた。いよいよ私は、地面にへたり込む。お母さんの笑顔が浮かび上がった。そして大声を上げて、私は泣いた。泣きながら、自分のやったことを、これでもかというくらい責め続けた。

 どうして逃げたの。逃げるなんて最低だ。最低だという言葉すら、悠々と突き破っている。たとえ怖くても、一緒に戦うべきだった。でも、私は弱いから、きっと足手まといになる。そしたらお母さんは、もっと痛い目に合っていた可能性もある。だから、あの場は逃げた方が良かったんだ、と言って、正当化しようとしたけれども、自分の心に嘘は付けず、本当は怖かったというどうしようもない理由なのだから、罪悪感を薄め用がない上に、正当化しようとしたこと事態まで責め立て始め、自己嫌悪は増加の一途を辿った。 
 私は最後まで、守られてばかりだった。お母さんが自己犠牲的行動をとることを、心配していたのはどこのどいつだ。そうさせている一番の原因は、お前じゃないのか。
 元はと言えば人間が悪い。逃げろと言われてその通りにしただけ。命がかかっていたのだから仕方がない。捻り出せば一応、自分を正当化させる素材は見つかった。それなのに、正当化させることができない。そうすることを、自分が許してくれない。私はいつまでもグチグチと、己が悪いと言い続ける。 

 不意に、夕立が降り始めた。雷も轟く、バケツをひっくり返したような雨。雨音は徐々にボリュームを上げ、ものの数分で水たまりが出現する。私はHPが削られる。けれどもそこから動かない。
夕立はすぐに止む。いつまでも降っているということはない。けれども。
ここにきて、ようやく気がついた。そしてもう一つの後悔をした。夕立はすぐに止んでしまう。けれども心は別だ。そう簡単に晴れるものじゃない。仲間たちに申し訳なく思った。落ち込んでいる子に、元気になれと励ます。それは、まるで意味がなく、余計なお世話でしかなかった。自分が落ち込んでみて、初めて理解した。むしろそのような励ましは鬱陶しく、傷口を広げてしまうこともある。
 人は立ち直らない。
 自己嫌悪も終わらない。

「そんなに落ち込むなよ」
 そんなことを言いながら、一匹のカラカラが正面からこっちへ来た。悪意の全くない顔が、私に迫ってくる。次第に、他のカラカラも集まってきた。やがて輪になって私を囲んだ。みんな笑顔だった。笑顔で彼らは、繰り返し唱えてきた。
「そうよ、元気を出して」
 無理だよ。
「ほら笑って」
 できないよ。
「大丈夫。私達がいるよ。一人じゃないよ」
 そうじゃないよ。
「今は悲しくても、明るい未来が待ってるよ」
 違うよ。
「そうだ一緒に歌でも歌いましょう。明るくなれるよ」
 一切汚れのない正論が、私の鼓膜を無慈悲にも突き破る。耳を塞いでも、彼らはまだ言ってきた。彼らの励ましを聞けば聞くほど、私の悲しみは増幅していった。その場から逃げ出した。

 目を覚ました。夕立によってHPが切れ、気を失っていたようだ。恐ろしい夢を見たが、夢であって良かった。流石に、母が殺されたのだ。現実でそんなふうに言ってくる人なんていない。
 私は仲間の元へと向かった。向かってどうするというのもないのに、自然と体が動いていった。励ましを求めているわけではない。何か別のものを、求めているのだろうか。
 仲間たちも、同じように落ち込んでいた。悲しんでいた。私を励ます余裕などなかった。当たり前だ。あれだけの数が捕まったり、殺されたりしたのだから。
 みんな、一人ひとりだ。他人と適度な距離をとって、独りで悲しみを味わっている。誰かと一緒に泣いている人は、ほとんどいない。
 励まし合いなんて、そこには存在しない。とても冷たく、暗い空間。けれども、恐らくそれでいい。私は、これを求めていたのだ。誰にも邪魔されず独りで悲しみ、かつ仲間達がほどよい距離にいるという状況。これが理想なのだ。
 私は再度地面にへたり込んだ。お母さんの肩身をぎゅっと握りしめた。いつまでもいつまでも泣いていた。雨がおさまることはなかった。
 

 
 

  • 逆行
  • 2014/09/21 (Sun) 20:16:52
Re: 夕立。
ポケモン赤・緑のガラガラの幽霊を思い出す話でした。もっとも、思い出すで終わらないオリジナリティにあふれていますが。
テーマに沿ってはいますが、夏というよりも寒々しい冬をイメージします。
終始曇り空で、いつまでも冷たい冬の雨が降り続いているような。
薄暗いけれど真っ暗でもないような。
寄り添って励まし合うわけではないけれど、すぐそばに同じ種族の仲間が存在するというのが、そんな印象を抱かせるのだと思います。
結局主人公のカラカラはみんなと同じ、暗い感情に支配されるようになりますが、
すぐ近くに仲間がいるのだから、その事自体はそんなに悪いことじゃないんじゃないかなあって思いました。
  • 焼き肉
  • 2014/09/21 (Sun) 22:58:04
ご応募ありがとうございました!
逆行さん、こんにちは。ご応募ありがとうございました!

近年の「悪の組織」のインパクトが強すぎることもあり二次創作でも出場機会が減ってきている感のあるロケット団ですが、やはり「悪らしさ」で言えば黒ずくめの彼らの右に出るものはそういないでしょう。
初代ポケモンやそのリメイクを遊んだことのある人なら、ロケット団が「命を奪ってきた組織」であることが明確に描かれているのを知っているはず。決して明るいとは言えない物語なのですが、その中で命を奪うことも厭わない冷徹なロケット団の姿がひとつ印象に残っています。

ストーリーは、正直重たかったです。「おもしろくない」とか「気に入ることができない」という悪い意味ではなく、むしろ感じるところがあったからこそ重たさを覚えました。pixivのようなサイトならブックマークして残しておきたいくらい印象的な作品です。

カラカラに降り注ぐ雨は夕立のように通り過ぎるものであってほしい。
そしてその横に、微妙な距離を置きながらも寄り添うだれかの存在があってほしい。
読了感は、ちょうど分厚い雲が風に押し流されてもう少しで雲が晴れていく、そんな空の景色に似ていました。

聞きたいのは正論じゃない。ただでさえ弱っている体なのに、正論を振りかざされたら太刀打ちできるわけがない。でも正論をたずさえて目の前に立つ人は、悪意がないからそのことには気付くよしもない。もうとっくの昔に自傷しているというのに。
逆行さんのイメージ通りに解釈できたかどうかはともかく、この一作からはメッセージ性を感じます。これは別にカラカラたちのコミュニティだけに限った出来事ではない。だれでもロケット団に襲われる前のカラカラにも、襲われた後のカラカラにもなりうる。たぶんこれは、そういう目でも現実を冷静に見据えている逆行さんだからこそ成し遂げえた作品なのだと思います。
経験してからでないと語りえないことはこの世にいくらでもある。私はこういう作品もあってほしいなと思います。
  • 小樽ミオ@運営主担当
  • URL
  • 2014/09/27 (Sat) 09:26:57
Re: 夕立。
やっぱりロケット団の右に出る残虐非道な悪役はいないな!

重たいのに面白い。メッセージ性の強い作品。
心が沈んでいるときに励ましてくる、ちょっといやな言葉を使うと鬱陶しいタイプのキャラクターを主観側に持ってくることで、そのキャラクターに正当性を持たせるというか、読者にあまり嫌悪感を抱かせないのはうまいなあと思いました。
ストーリーとしてはカラカラが不幸を背負う形となりましたが、マイナスの感情を理解することで成長するという構成が面白かったです。
雨が止まないラストもいい。私だったら安易に晴らしてしまいそうです。
落ち込みたいけど、一人は寂しい。ぬるく湿った距離感を、カラカラという種族は先天的に理解しているのかなあとラストで思いました。
  • 赤星
  • 2014/09/27 (Sat) 11:24:44
Re: 夕立。
ロケット団の犯罪とカラカラの孤独な設定を基にした重いストーリーながら、ぐいぐいと引き込むテンポの良さにある種の爽快感すら覚えます。計算されたような納涼作品。
異端児だった主人公が最終的に仲間と同じ境地に着地する流れ、どこか皮肉ながら不思議な安堵を感じました。
  • 鈴志木
  • 2014/09/28 (Sun) 17:46:56

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